【本の紹介(高校生)vol.1】「知られざる隣国・中国」を知る本 2選

「中国4千年の歴史」「GDP世界第2位」「軍事的脅威」など、中国を語る言葉を耳にする機会は非常に多い。

かつての後進国は、改革開放政策を経て大きな経済成長を実現させ、いまや世界第2位の経済大国になっている。
中国とアメリカの関係は、世界経済を左右するほどのものになっている。

また、大きな経済力を反映して、軍事的なプレゼンスも大きくなり、日本近海での活動を活発化させている。
尖閣諸島をめぐる中国と日本の対立は、地域紛争にも発展しかねないほどの緊張をはらんでいる。

存在感を日に日に増しており、ニュースで目にする機会も多い中国は、良くも悪くも「身近な隣国」である。
中高生のみなさんも、きっと日常のどこかで中国についての情報に触れることもあるだろう。

知られざる「ひとつの国としての中国」

だが、中国の内実は、ニュースを見るだけではわからない。

日頃ニュースで伝えられる中国の姿は、中国という国のすがたの中でも、日本と接する側面だけである。
その「ひとつの国」としての全体的なすがたは、テレビのニュースやネットの記事だけではわからない

日本に脅威をもたらす「軍事大国としての中国」も、協調関係によってともに発展する可能性を含む「経済大国としての中国」も、その奥にはひとつの国家、ひとつの社会としての原理が潜んでいる。

今回はその「ひとつの国としての中国」の姿に迫るべく、
1.梶谷懐「『壁と卵』の現代中国論」(人文書院)
2.稲垣清「中南海――知られざる中国の中枢」(岩波新書)

この2冊を紹介する。

「中国ってどんな国なんだろう?」「日本は侵略されてしまうの?」中国について疑問に思ったことのある中高生もいるかもしれない。
中国について関心があってもなくても、きっと以下の2冊は中国を知るのに役立つはずだ。

梶谷懐「『壁と卵』の現代中国論」(人文書院)

梶谷懐「『壁と卵』の現代中国論」(人文書院)

村上春樹がエルサレム賞を受賞した際のスピーチ、「壁と卵」の比喩をタイトルに用いたこの一冊。
村上春樹は、「壁」とはシステムのことであり、「卵」とは個人のことであるとして、私は常に卵の側に立つ、と述べた。

この本も、強固で膨大な”システム”と、弱くて小さい”個人”という対立軸のもとで書かれている。共産党が支配する中国社会という巨大なシステムと、そのもとで生きる多くの中国人との関係に光を当てているのだ。

私たちがニュースで目にするのは、ほぼ「中国共産党」の姿だといってよい。外交問題にコメントする外交部長や報道官、首脳会議に臨む国家主席などは、中国の政治的トップの姿でしかないのだ。
当然だが、その政治的指導者層も、多くの中国国民が暮らしているうえに立脚している。だが、その多くの中国国民の姿は、日本のニュースではあまり目にすることはない。

普段知ることのない中国社会のリアルな実情をとても深く知ることのできる一冊であるといえる。

歴史的な中国国内の経済・社会政策と、それが中国社会にもたらした影響、それによって中国に住む人々の暮らしはどうなったのかということや、中国社会内部での分断(都市と地方の分断や、世代間の分断)の状況と、それが中国社会全体にもたらした変化の様相について、詳細な分析にもとづいて述べられている。

中国の国家指導部とは異なる、そこで暮らす普通の人々の社会としての「中国」のすがたを見ることができるだろう。

稲垣清「中南海――知られざる中国の中枢」(岩波新書)

稲垣清「中南海――知られざる中国の中枢」(岩波新書)

「『壁と卵』の現代中国論」が中国社会をテーマにした一冊であるのに対し、こちらは中国の政治的指導部をテーマにした一冊だ。

「中南海」とは、首都北京の中心部、紫禁城の西側に隣接する地区を指す。中南海には中国政府や共産党本部、政府や党の要人の居住区などが立地している。日本でいう「官邸」「永田町」にあたるのが、この中南海である。

この中南海を舞台に繰り広げられる、党や政府のさまざまな政治的な動きに焦点を当て、日本の政治システムとは大きく異なった形で進行する中国政治を、詳細に解説する。

中国の政治的動向は、党の人事や派閥に大きく影響を受ける。かつての文化大革命や天安門事件が、党の権力争いと複雑に絡み合って展開したのが好例だ。
したがって、中国という国家の行動を理解するためには、共産党や政府内部はどのような構造になっており、どのような権力が働くのかを理解する必要がある。そのためには必見の一冊である。

岩波といえば、リベラル的立ち位置、左派的立ち位置であることが有名だが、この本には共産党びいきのような記述は見られず、いたって公平的、中立的に書かれている。
そもそも中国共産党内部でも多くの権力闘争があり、極めて多層的であるから、その点をきちんと見極めるためには、客観的にならざるを得ないともいえよう。

外部からは知ることのできない、中国指導部の内実に迫ることのできる一冊だ。

隠された中国の行動原理を明らかにする

国内のニュースで見る中国のすがたは、ときに不可解で、理解しがたいもののように映る。

だが、中国という国の社会の内部構造や、政治体制のシステムを理解すれば、表面的なニュースからは知ることのできない、隠された中国の行動原理を明らかにすることができるだろう。

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